モーニングには遅いし、ランチにはまだ少し早い、そんな中途半端な時間の為、店内は空席だらけで、静けさすら漂っていた。


 谷口さんは、一番奥の喫煙席を選び、腰を下ろすなりデニムジャケットの胸ポケットから数枚の写真を取り出し俺に向かって差し出した。


「どうしたんすか? コレ…」


 俺は驚いて、思わず声を上げた。


「バカ、騒ぐな。」


 慌てて谷口さんが言う。


 その写真は、今朝発見された二つの遺体の写真。


 俺の記憶が正しければ、この事件の担当は俺たちではないはず。


 それなのにこの写真が今、ここにあるのは、どう考えてもおかしいだろ?


「ちょっと借りただけだ、お前が見たらすぐ返す。」


 谷口さんは悪戯っ子のように、鼻を鳴らして笑った。


 どんな手段を使って『借りた』んだか…


 想像するのも恐ろしいのでやめておく。