ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】




「いいのかよ?」


「何がだ?」


 チラと俺に向けた兄貴の顔は、相も変わらず無表情だが、兄貴の心は泣いているに違いなかった。


「あんな別れ方して。」


 俺らしい、無神経で迷惑な問い掛けに、兄貴は腹を立てるでもなく、


「俺にもしものことがあったら、この方が諦めもつくだろ?」


 そう答えて苦く微笑んだ。


 余計に悔いが残るんじゃねーの? てかそれより…


「兄貴、『俺なら大丈夫』って言ったよな? 俺はそれを信用したんだ。裏切ったら絶対に許さねーからな。」


 俺がまた感情任せに声を荒げると、


「『もしも』の話だ。」


 兄貴はその綺麗な顔をクシャリとさせて、穏やかに微笑んだ。