助手席のドアを閉めると、みゆっちが我に返ったようにハッとして、慌てて駆け寄り、助手席の窓に両手の平をついた。
俺が窓を少しだけ下ろして隙間を作ると、みゆっちは、今度はすがるような瞳で俺を見詰め、
「お願い… 龍一を守って。」
散々泣きじゃくって、喚き散らして、掠れてしまった小さな声で、切なる願いを絞り出した。
「わかった。」
力強く約束してやれないのが、なんとも虚しい。
俺がみゆっちに答え終わるや否や、兄貴はハンドルを切って車を発信させた。
まるでみゆっちへの未練を断ち切ろうとするかのように。
走り出した車のサイドミラーに映る、膝を折って地べたに腰を落とし、天を仰ぐようにして泣きじゃくるみゆっちが、ゆっくりと小さくなる。
俺はいたたまれなくて、みゆっちが見えなくなるのを待たず、ミラーから目を逸らした。
俺が窓を少しだけ下ろして隙間を作ると、みゆっちは、今度はすがるような瞳で俺を見詰め、
「お願い… 龍一を守って。」
散々泣きじゃくって、喚き散らして、掠れてしまった小さな声で、切なる願いを絞り出した。
「わかった。」
力強く約束してやれないのが、なんとも虚しい。
俺がみゆっちに答え終わるや否や、兄貴はハンドルを切って車を発信させた。
まるでみゆっちへの未練を断ち切ろうとするかのように。
走り出した車のサイドミラーに映る、膝を折って地べたに腰を落とし、天を仰ぐようにして泣きじゃくるみゆっちが、ゆっくりと小さくなる。
俺はいたたまれなくて、みゆっちが見えなくなるのを待たず、ミラーから目を逸らした。



