すかさず兄貴が、みゆっちの目の前に自分の右人差し指を立て、
「いいか、美百合。皆人に手を出すな。皆人には関係ない。俺が、俺自身の判断で決めたことだ。それでもまだ、こんなことを続ける気なら…
たとえお前でも、俺は容赦しない。」
みゆっちは益々顔を紅潮させ、口は一文字にきつく結び、その大きな目から溢れ出た涙が止め処なく頬を伝っているというのに、声は出すまいと必死で堪えているようだった。
そうして俺を睨みつけたまま、微かに震えている。
俺への怒りが頂点に達して、その憎しみ全てを俺にぶつけているのか… それとも、自分を愛しているはずなのに、冷たく突き放し、今まさに彼女をおいて去ろうとしている兄貴を直視できないのか…
多分、その両方だろうな。
そんなみゆっちに、兄貴は非情にも背を向け、無言で車の運転席側へと回った。
ドアを開け、愛車の屋根越しに俺を見ると、
「乗れ、皆人。」
冷ややかに、無感情に命令する。
俺は小さく溜息を漏らし、仕方なくそれに従った。
「いいか、美百合。皆人に手を出すな。皆人には関係ない。俺が、俺自身の判断で決めたことだ。それでもまだ、こんなことを続ける気なら…
たとえお前でも、俺は容赦しない。」
みゆっちは益々顔を紅潮させ、口は一文字にきつく結び、その大きな目から溢れ出た涙が止め処なく頬を伝っているというのに、声は出すまいと必死で堪えているようだった。
そうして俺を睨みつけたまま、微かに震えている。
俺への怒りが頂点に達して、その憎しみ全てを俺にぶつけているのか… それとも、自分を愛しているはずなのに、冷たく突き放し、今まさに彼女をおいて去ろうとしている兄貴を直視できないのか…
多分、その両方だろうな。
そんなみゆっちに、兄貴は非情にも背を向け、無言で車の運転席側へと回った。
ドアを開け、愛車の屋根越しに俺を見ると、
「乗れ、皆人。」
冷ややかに、無感情に命令する。
俺は小さく溜息を漏らし、仕方なくそれに従った。



