やがて、一人の男が多恵ちゃんと共に現れた。
男に右脇を抱えられるようにして、大人しく社長の傍まで連れて来られた多恵ちゃんは、俯いたまま、顔を上げようとしない。
久々の再会だというのに、良く顔が見えない、チッ。
野球帽を目深に被った男の右手には銃、やっぱり……あの銃には、弾が入っているのだろうか。
「おい、その銃、弾入ってんだろうな」
尾藤のやつも、俺たち同様、そこが一番気になるらしい。
男が「ああ」と答えると、安堵の表情を浮かべ、胸を撫で下ろす。
だが野球帽の男は続けた。
「入っている。試してみるか?」
目にも留まらぬ素早い動きで、その筒先を尾藤のこめかみにピタリと当てた。
「な……何やってんだ、てめぇは?」
尾藤は全身を強張らせながらも、口だけは忙しく動かした。
男は野球帽を剥ぎ取ると、
「当時、あんたは邪魔な息子を消そうと考えていた。そこに都合良く俺が現れ、息子を殺害。想定外ではあったが、あんたの望みは叶ったわけだ。
それなのに今頃になって敵討ちとは、おかしな話だよなぁ」
薄く微笑みながら、淡々と語った。
男に右脇を抱えられるようにして、大人しく社長の傍まで連れて来られた多恵ちゃんは、俯いたまま、顔を上げようとしない。
久々の再会だというのに、良く顔が見えない、チッ。
野球帽を目深に被った男の右手には銃、やっぱり……あの銃には、弾が入っているのだろうか。
「おい、その銃、弾入ってんだろうな」
尾藤のやつも、俺たち同様、そこが一番気になるらしい。
男が「ああ」と答えると、安堵の表情を浮かべ、胸を撫で下ろす。
だが野球帽の男は続けた。
「入っている。試してみるか?」
目にも留まらぬ素早い動きで、その筒先を尾藤のこめかみにピタリと当てた。
「な……何やってんだ、てめぇは?」
尾藤は全身を強張らせながらも、口だけは忙しく動かした。
男は野球帽を剥ぎ取ると、
「当時、あんたは邪魔な息子を消そうと考えていた。そこに都合良く俺が現れ、息子を殺害。想定外ではあったが、あんたの望みは叶ったわけだ。
それなのに今頃になって敵討ちとは、おかしな話だよなぁ」
薄く微笑みながら、淡々と語った。



