ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「セクシーミドルに『玉抜き(弾抜き)』にされたな」


 思わず俺の口から出た言葉に、谷口さんは目を細め『こんな時に下ネタはよせ』と言いたげな視線を寄越す。


 あいすいません。


「こっちには人質がいる。忘れたか? 谷口」


 社長の悪あがきに、谷口さんはため息交じりに、


「諦めろ、尾藤」


 静かに諭すように言った。


「いいや、諦めない。こんな簡単に苦労して築き上げた全てを失ってたまるか!」


 言いながら、デスク上の受話器を取り、内線の番号を押した。


 電話の相手に「女を連れて来い」と一言告げる。


「まずいな……今から来るヤツの銃には弾入ってんじゃね?」


 俺が谷口さんに耳打ちすると、谷口さんは余裕の笑みを浮かべ「さぁ?」と言ってみせる。


 スパイの間では、『微笑むタイミングを間違えるの法則』でもあるのか?