ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「潮時だな、尾藤。悪いが、俺は手を引かせてもらう。利のない仕事はしない主義でね」


 この状況になど関心なさそうに言い、銃を握る男たちの円の中を横切って出口へ向かう。


「なんだと? 木戸! てめぇ、裏切るのか?」


 色ボケシルバーマンの背中に社長が怒鳴り声をぶつける。


「裏切るもなにも、俺はあんたに忠誠を誓った覚えはないね」


 振り返ってそう言うと、色ボケシルバーマンはニヤリと不適に微笑み、そして再び正面を向き直ると部屋を出て行った。


「おい、ポリ公、いいのか? この件にはあいつも深く関わっている。重要参考人、取り逃がすぞ?」


 今度は俺たちに必死に訴える。


「あいつは……ただの銃弾泥棒だ。そんな小者、この事件を放棄してまで追う価値なんかないね」


 谷口さんは、至って冷静に返すと、


「お前らのそれ、弾入ってんのか?」


 と、若干同情交じりな言い方で問う。


 谷口さん、その撹乱作戦、俺と兄貴が相当使い古したから、もう効果は期待できないのでは……


 だが、ヤツラは一斉に弾を確認しだし、そしてみるみる顔面蒼白となる。


 諦めの悪いヤツは、それでも引き金を引いて、カチカチとしきりに虚しい音を鳴らす。