ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】





 一時間後、約束どおり、俺と谷口さんは、尾藤グループの社長室に居た。


 部屋は大勢のガラの悪い社員たちに縁取られ、俺たちは完全に包囲されていた。


 時間外勤務か? ご苦労さんだね。


「蔦山くんはどうしたのかね?」


 尾藤グループ社長が嫌味な笑みをこぼして問う。


 社長の傍らには、やっぱり色ボケシルバーマンが、涼しい顔して立っている。


「蔦山隆治は死んだ。けど、あんたらが欲しかったのはコレだろ?」


 そう言って俺は、大切に頭にのっけて持ち帰った紙袋を、社長に向かって投げつけた。


 社長がそれを受け取るなり、谷口さんが手帳を取り出した。


「尾藤グループ代表取締役社長、尾藤重信、覚せい剤取締法違反の現行犯で逮捕する」


 谷口さんが早口で捲くし立てると、俺たちを取り囲んでいる男たちが、一斉に銃を構えた。


 空気がピンと張り詰める。