ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

 もういいし。


 兄貴のジーンズなんか脱いでしまえ。


 男は兄貴のジーンズと仲良く海に吸い込まれた。


 グッバイ、『羞恥心』という名のしがらみ、俺はこれで自由だ! 無敵だ!


 妙なハイテンションで単独で盛り上がり、俺はレールを乗り越え船首に転がり込んだ。


 俺も男がしたように、レールを伝って船尾に回ると、兄貴が船楼外部に取り付けられた梯子を上っているところだった。


 梯子を上った先には、操舵席、蔦山さんがいるんだろうね。


 振り返ると、兄貴が乗って来た水上バイクは操縦者を失い、海面に漂いながら、ゆっくりとその姿を縮ませた。


 兄貴は愛しい弟の無事に歓喜するどころか、俺の下半身に冷ややかな視線を注ぎ、


「なんなんだ? そのご機嫌なリゾートスタイルは……」


 無情にも、そんな一言を言い放った。


「兄貴のズボン、窮屈だから脱いだんだよ」


 言い返すと、へぇと、どうでもよさそうに返し、


「お前はモノを探せ」


 俺を見下ろしながら言い、兄貴は再び梯子を上り始めた。


 状況的にも比喩的にも上から目線、偉そうに。