「俺なら大丈夫だ。心配するな、皆人。」
兄貴はどんな時だって、クールで凛として格好いいんだよ。
ほんの少し開けられた扉の隙間から差し込んだ陽光に背後から照らされ、兄貴の柔らかな笑顔は白んで、とても美しかった。
俺も兄貴の後を追うようにハウスを出て、すぐ目の前に停めてあった兄貴の愛車の傍らに立ち、兄貴が戻るのを待った。
足元には短い雑草が生い茂っている。
それを足で踏み倒したり、土を爪先で掘り起こしてみたりして弄びながら気を紛らわせた。
しばらくして、悲鳴のような、泣き叫ぶような、女の喚き声がして、俺は落としていた視線を上げ、声のした方を見た。
明らかに兄貴の家からそれは聞こえるが、背の高い厳つい塀に囲まれているため、何が起こっているのかは俺の位置からでは見えない。
だがすぐに、スーツに着替えた兄貴が姿を現し、こちらへ向かって大股で颯爽と歩いて来るのが俺の視界に入った。
狂ったように泣きじゃくるみゆっちが、その背後から走って兄貴を追い越すと、兄貴の前に立ちはだかり兄貴の進路を遮った。
兄貴はどんな時だって、クールで凛として格好いいんだよ。
ほんの少し開けられた扉の隙間から差し込んだ陽光に背後から照らされ、兄貴の柔らかな笑顔は白んで、とても美しかった。
俺も兄貴の後を追うようにハウスを出て、すぐ目の前に停めてあった兄貴の愛車の傍らに立ち、兄貴が戻るのを待った。
足元には短い雑草が生い茂っている。
それを足で踏み倒したり、土を爪先で掘り起こしてみたりして弄びながら気を紛らわせた。
しばらくして、悲鳴のような、泣き叫ぶような、女の喚き声がして、俺は落としていた視線を上げ、声のした方を見た。
明らかに兄貴の家からそれは聞こえるが、背の高い厳つい塀に囲まれているため、何が起こっているのかは俺の位置からでは見えない。
だがすぐに、スーツに着替えた兄貴が姿を現し、こちらへ向かって大股で颯爽と歩いて来るのが俺の視界に入った。
狂ったように泣きじゃくるみゆっちが、その背後から走って兄貴を追い越すと、兄貴の前に立ちはだかり兄貴の進路を遮った。



