東郷の幹部がいるらしい高級ホテルに入るなり、兄貴は非常階段へ直行、一階上るごとにドアを開けて廊下を見渡しては、もう一階上る、を繰り返す。
まさか… 宿泊中の部屋がどこだかわかんねぇんじゃないだろうな。
俺も兄貴の後に、チョコマカとなんとも間抜けな動きで、必死についていく。
7階でドアを開けると、ようやく目的のものを見つけたらしく、廊下を颯爽と歩き出した。
ここか? と思うも、兄貴はルームサービスのワゴンを押す、デップリ太ったホテルマンに背後から近付くと、男が兄貴の気配に気付く前に、その後頭部に銃口を当てた。
今日の龍一くんの武器、サイレンサーであります。
「それ、1506号室に届けろ。死にたくなかったら、振り向かない方がいい」
男は縦に小さく何度も首を振ると、俺たちが自分の背後をとり続けられるよう、ゆっくりとUターンし、エレベーターへと引き返す。
「皆人、お前は階段から行け」
デブホテルマンに気付かれないよう、兄貴が俺に耳打ちした。
なんだかよくわかんねぇけど、とりあえずは兄貴に従って非常階段へと戻り、全力で階段を上る。
15階だぜ? 兄貴は俺を酸欠で殺す気か?



