ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】





「龍一くん、龍一くん、どっこ行っくの?」


 黙々と久々の愛車を運転する兄貴に向かって、尋ねてみた。


 これから迎える(多分)壮絶展開に、兄貴の中に眠る獣の血が騒いでいるのか、それとも… 
 俺が不注意でこすった助手席側のミラーに気付いたのか…


 後者だったらマズイぞ、俺の未来は真っ暗闇だ。


 兄貴の、兄貴による、兄貴のための『修理代取立て』、想像しただけでも恐ろしい。


 ビクビクしながら、兄貴の横顔に視線を細く送っていると、兄貴はようやく口を開いた。


「東郷の幹部の一人が、高級ホテルでご満悦だ。今から冷やかしに行く」


 俺の方など見もせず答えた。


 兄貴の『冷やかしに行く』は、ただ単に『冷やかす』だけで済むはずがないのだ。


「物の場所は蔦山さんから聞いたんだし、直行すれば良くね?」


 どうにも不満で、無駄だとわかっていながら提案してみた。