ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「で、要求は?」


 再び俺に視線を戻し、冷静を装って兄貴が尋ねる。


 兄貴の表情は至ってクールなままだが、明らかに動揺しているのを俺は感じた。


「今夜2時、兄貴を産廃処理場に連れて来いだと。」


 兄貴はまた俺から顔を背け、深刻な面持ちで何やら考え込んでいる。


 俺はここへ来る道中、ずっと考えていた事を口にしてみた。


「なぁ、兄貴… 断れよ。」


 それは兄貴にとって予想外の言葉だったらしく、兄貴が両目をほんの少しだけ、いつもより縦に広げて俺を振り返った。


「谷口さんには、『銃口突きつけられて、慌てて逃げ帰って来た』とか何とか、言っとくし。」


「いかにも俺がやりそうな事だな。」


 そう言って兄貴は苦笑した。


「俺は冗談言ってんじゃねぇぞ。兄貴、行ったらそのまま埋められるぜ? 明日には産業廃棄物の一部だ、兄貴ならそんなことわかってんだろ?」