ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「俺だって、乃亜のためだったら何でもできるしね。」


「へぇ… じゃ、今回のことも許してやれよ。」


 嘲笑を浮かべて谷口さんは言う。


「それとこれとは、話が別だ。」


「全然別じゃねぇけど、まあいいや。それじゃぁ聞くが、乃亜は? 乃亜はお前のために何でもできるのか? 

 お前は今までに、女を、てめぇに心底惚れさせたことがあるのか? 『あなたのためなら死んでもいい』って言わせるぐらい、本気でだ。」


 何ムキになってんだよ!? そんなもん、ないに決まってんだろうが。


「じゃあ、谷口さんはあるのかよ!? 多恵ちゃんがそうだって言うのかよ!?」


「俺もないね。」


 谷口さんはあっさり否定した。


「けど… あの人には… それができるんだよな。」


 悲痛な面持ちで、呟いた。


 谷口さんってば、また訳のわからないことを…


「ああ俺、保育園へ翔馬を迎えに行かねぇと。」


 腕時計に視線を落としてそう言うと、谷口さんは席を立った。


 一人でこんなとこ居てもしょうがないし、俺も谷口さんと一緒に店を出た。




 帰るか。


 我が家に帰って、思い切り泣こう。