ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

 タバコを指に挟んだまま、両手で頭を抱え込んだ。


「俺は、乃亜を許せない。」


 本音が俺の口からこぼれた。


「じゃあ、健康的で鋼鉄のハートを所持した女を探すんだな。」


 どうでも良さそうに、谷口さんが言う。


「乃亜が不健康だって言うのか?」


 咄嗟に顔を上げて、俺が声を荒げると、


「耳が不自由なのは事実だろ!?」


 谷口さんは、冷ややかな視線を寄越した。


「谷口さんは、俺に乃亜と別れろって言いたいのかよ!?」


 そう問いながらも、谷口さんが否定してくれることを、俺は期待していた。


「別に。お前が誰と付き合おうが、俺には関係ないね。ただ、アドバイスしてやってるだけだ。お前は、楽な恋愛がしたいんだろ?」


「俺がいつ、そんなこと…」


「乃亜は障害があるし、心も繊細でまるで硝子細工だ。このまま付き合いを続けたって、今後も苦難ばかりだ。その度に、苦しむんだぞ、お前も乃亜も。」


 今日の谷口さん、なんでそんな意地くそ悪いことばっか言うんだよ。


「愛ってのはな、自己犠牲の上に成り立つんだ。身勝手で我侭なお前には、一生かかったってわかんねぇだろうがな。」


 そう言って、谷口さんが煙を吐き出しながら、タバコを灰皿に捻じ込んだ。


 いくらなんでも言い過ぎだ、またムカついてきたし。