ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「刑法第222条、脅迫罪、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金。」


 ツラツラと抑揚のない声が言ったかと思うや否や、額にものすごい衝撃を受けた。


 視界の上部で、小さな無数の光がチラチラと瞬いた。


 痛む額に右手を当て、片目を辛うじて薄く開け、頭突きを食らわせた相手を見た。


「谷口さん… なんでここに!?」


 谷口さんの額も少し赤らんでいた。


 産婦人科で頭突きとか… この人やっぱイカレてる。


「こんなことして何になる? バカ皆人。」


 谷口さんは、呆れたように吐き捨てた。


「ここの医者が俺の子を殺したんだ、一発殴ってやんねぇと気が済まねぇ。」


 途端、俺の耳を掴んでグイグイ引っ張りながら、谷口さんは出口へ向かう。


 今にも引き千切られそうな耳の激痛に逆らえず、谷口さんについて病院を出るしかなかった。


 自動ドアを抜けた所で、とどめとばかりに、谷口さんは目一杯俺の耳を引っ張りながら、ようやく手を離した。


「いてぇーよっ!」


 俺が半ば狂ったように大声で文句を言うと、


「なにアホなこと口走ってやがる! 場をわきまえろ! てめぇは小学生か!」


 ものすごい剣幕で怒鳴り返された。


「小学生は生殖機能ないしね。」


 谷口さんのあまりの迫力に、つい弱気になるも、小声で反発した。


「来い、皆人。」


 そう言って谷口さんは俺に背を向け歩き出し、数10メートル先のファミレスに入った。