ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「乃亜、お前は
 耳が聞こえないから、幸せじゃないのか?


 耳が聞こえないと、幸せになれないのか?


 俺は

 お前を




 幸せにできないのか?」




 乃亜が子どものように咽び泣き、俺も泣きたくなった。


「いい加減にしなさいよ。乃亜ちゃんを本当に愛しているなら、乃亜ちゃんの気持ちも考えたら? せめて、理解しようと努力すべきじゃないの?」


 俺は咄嗟に立ち上がって理沙を振り返り、理沙の鎖骨下を右手で押し、理沙を壁に叩きつけた。


「黙れ、理沙。それ以上しゃべったら…


 殺す。」


 理沙の大きく開かれた目が、なおも俺を責めているように感じた。


 それから逃れるように、理沙から乃亜に視線を移すと、俺を怯えた目で見ながら、声を上げて泣いている。


 そうか、俺が悪者か。


 俺はどうにも居た堪れなくなって、部屋を飛び出した。


 ダイニングのテーブルには薬局の袋があり、『根本産婦人科』と書かれていた。


 それを尻目に通り過ぎ、靴を履いて玄関を出た。