ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「兄貴は死んでねぇよ。」


「本当か?」


 良治は目を輝かせて聞き返す。


「本当じゃなきゃ困るね。」


 曖昧な言葉を返すと、良治はすぐに勘付いた。


「お前なぁ… 希望を持つことはとても良いことだと思うよ。けどこの状況で…」


「黙れ。爆弾の一個や二個で、兄貴が死ぬ訳ねぇだろーが。」


 俺が腹立たしげに言い返すと、


「あの天下無敵の『貴丸』だって、一個で確実に死ぬ。」


 などと、良治はアメリカ帰りの超一流レスラーの名を持ち出してきた。


「てめっ! 証拠もねぇのに、兄貴を殺すんじゃねぇよ。物事を一方向からだけ見てたって、なんもわかんねぇだろ? お前それでも警官かよ!? バカヤロー!」


 つい頭に血が上って、罵倒してしまった。


「ああそうか、じゃあもう一つ、バッドニュースがあんだけど、言っても平気だよな? だってお兄さんは無事なんだもんな?」


 良治もキレ気味に言い返してきたが、もう一つのバッドニュースなど、俺には全く心当たりがなかった。


「なんだよ? ああ、聞くよ、平気だよ。」


 俺も負けじと、荒い口調で返す。


 良治は、急に黙り込んだ。


 眉をハの字にして、さっきまでの怒りはどこへやら、切なげな、同情の眼差しを俺に向ける。