「初めまして… かな?」
デカイ机の向こう側にゆったりと腰掛けたその人は、俺たちに向かって含みのある笑顔でそう言った。
推定年齢60代のどこか、高そうなグレーのスーツに、これまた高そうなネクタイ、白髪、顎周りも白い髭にきちんと囲まれている。
その傍らに、色ボケシルバーマンがすました顔して立っていた。
一丁前にスーツなんか着ている、似合わねぇ。
「立ち話もなんだから…」
社長さんが口を開くと、
「立ち話程度にして頂きたい。」
かぶせるように谷口さんが、強い口調で言った。
「忙しいようだな。では、用件を簡潔に言おう。蔦山くんをここへ連れてきて欲しい。脱獄したらしいじゃないか。無能な日本の警察には、全く、呆れて言葉も出ない。」
「だったら、その無能な警察官の俺たちに頼ってるあんたは、何なんだよ?」
思わず声を上げると、社長は谷口さんから俺に視線を移し、その顔に嫌味な微笑を浮かべた。



