ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

「まだあんなこと… されてるのか?」


 激しい怒りで、隆治の頭の中は破裂しそうになった。


「でも、もう痛くないから、平気だよ。」


 希世は隆治に、必死で作った笑顔を向けた。


「とても嫌だけど、そうゆう時は、目を閉じてお兄ちゃんのこと考えるの。頭の中でお兄ちゃんとシェフと遊んでいるうちに、いつも終わってる。」


「そうか。」


 他に言ってやれる言葉など、この時の隆治には思いつかなかった。


 目の奥から熱いものが込み上げ、慌てて空を仰ぎ、それを再び奥へと戻そうとした。


「なぁ、希世。兄ちゃんと、どっか遠い所へ行かないか。」


 この美しい蒼の底に、希世と一緒に沈んでしまえたら、どんなに幸せだろうと隆治は思う。


「お母さんも一緒?」


「兄ちゃんと二人じゃ、嫌か?」


 そう隆治に問われ、希世はほんの少し考え込むが、すぐに、


「お母さんと一緒じゃなきゃイヤッ。」


 悪びれることなく答え、無邪気に笑った。