自転車で10分ほどの港へ、希世の自転車に二人乗りして向かった。
辿り着くと自転車を降り、防波堤を希世の手を引いて歩く。
先端まで来ると、二人並んで足を海に投げ出すようにして、防波堤の端に腰を落とした。
潮風が心地よく二人の身体を撫でた。
「きれい…」
海の彼方を眺めながら、希世が瞳を輝かせて言う。
海面が日の光を反射して、チラチラと光を放っていた。
済んだ青空に、雲の白が良く映える。
「綺麗だ。」
隆治も希世に同調するように呟いた。
「希世、あれからもう、あいつに酷いことされてないか?」
「『あいつ』って?」
誰のことを言っているのか見当がつかず、希世は不思議そうに隆治を見た。
「お父さん…」
口にするのも不快で腹立たしく、隆治の顔は無意識に歪む。
希世が恥ずかしそうにうつむいたことで、隆治はその答えを知る。



