予定もないが身支度をして外に出ると、希世が庭に咲いた朝顔を、しゃがみ込んでうっとりと眺めていた。
その横で、必死に希世を振り返らせようとちょっかいをかけていたシェフが、隆治に気付くと飛び跳ねるようにして背筋をピンと伸ばし、尾をグルグルと勢い良く回転させた。
シェフにつられて希世も振り返った。
「お兄ちゃん! こんにちは。」
嬉しそうに顔を綻ばせ、希世はすぐさま立ち上がって隆治に駆け寄った。
既に昼なので、寝起きである隆治に、『おはよう』ではなく『こんにちは』と挨拶する希世の律儀さに、隆治の顔も思わず綻ぶ。
「希世、兄ちゃんと自転車でどっか行くか?」
隆治がそう言うと、希世は満面の笑みを見せ頷いた。



