しばらくすると、屋外から希世の無邪気な声が隆治の耳にも届いた。 「お母さん! どこか行くの?」 「ええ、ちょっとお仕事行かなきゃならなくなったのよ。希世、お兄ちゃんとお利口にお留守番しててくれる?」 露子が、優しく言い聞かせる。 その言葉が永遠の別れを告げているなどと、希世が気付くはずもなく、 「うん、できる! いってらっしゃ~い。」 微塵も疑うことなく、希世は露子を送り出した。