「…ってことはだなぁ、お前、日置とキスもしてないの?」
「うん、未遂に終わった。」
何故かチワワくんはうっとりと微笑む。
「俺… こんな生き方しかできないから…」
顔は笑っているけど、チワワくんの声は寂しげだ。
「ホスト辞めればいんじゃね!?」
「俺今、借金まみれでさぁ」
「どんだけ浪費家なんだよ!?」
「親父が莫大な借金つくって蒸発してさ。母親は自殺。学費も稼がなきゃなんないし、借金も返さなきゃで仕方なく…ね。」
チワワくん、どんだけ不幸な生い立ちなんだよ、今後はもう少し優しくし接してやろう。
「着いたぜ。」
チワワくんのロマンスを聞いているうちに、いつの間にか巨大テーマパークが姿を現した。
施設の周りは未だ人口密度マックスで、事の結末を見届けようとしている野次馬たちで溢れかえっていた。
駆け付けた警官たちは、気の毒に、その人だかりにもみくちゃにされていた。



