「なぁ、そんなに好きなら、日置のことなんとかしてやれよ。」
窓の外を流れる景色を眺めながらもの思いに耽っている、哀愁漂うチワワくんに声を掛けた。
「恵理ちゃんに手ぇ出したら駄目っしょ!?」
チワワくんは、こちらに意味深な視線を寄越してそう言った。
「別に… 俺は構わんよ。」
「皆ちゃんの意見なんか聞いてない。」
チワワくんが目を細めて、じっとりと俺を見る。
いや、確かに今、俺に同意を求めたよな!?
「あいつ、欲求不満でいつもイライラしてんだ、当たられる俺にしたらすこぶる迷惑なんだよ。」
「処女でも欲求不満になるの?」
「え? お前、日置とやってないの? てか、日置・・・・・・・・・ 処女???」
「うん」
まじか… 日置は化石だ! 生きている化石、『カブトガニ』だ!



