ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】

 何気なく兄貴がアップになっている映像に目をやると、兄貴の口が微かに動いた。


「あっ! 今兄貴、なんか言った。」


 俺が思わず声を上げると、チワワくんが俺の方を振り返った。


「大変、急がなきゃ… 龍くん…」


「何だよ? 兄貴なんて?」


 俺が急かすように問うと、


「『暇だ』って…」


 チワワくんは悪戯っぽく笑った。


「おまっ…」


 こんな状況でもふざけるチワワくんに、呆れて言葉も出ない。


 兄貴も兄貴だ、『暇だ』ってなんだよ!?


 こいつら、今までどんだけの修羅場をくぐりぬけて来たか知んねぇけど、危機感覚麻痺してんじゃね!?


「急ごう、皆ちゃん。」


 チワワくんは、足元に置いてあったボストンバッグを拾い上げると、颯爽と歩き出す。


 ひとの心を散々掻き乱しておいて、なんだよソレ?


「恵理ちゃん、ありがと。」


 チワワくんは日置の方を振り返って手を振った。


 日置は不安げに苦笑しながらも、コクリと頷いた。