「なあ、堀田。最初からあんなだったか? わりとバアさん、友好的みたいだぞ」
「よく見ろよ薄汚い手足をして、地に這ってたんだよ」
東雲は顎に右手を当てて、それこそ当て推量に言った。
「案外おまえの人徳を慕ってきているのじゃないか? オレなら彼女を気の毒に思わないでもないぞ」
そこまでいうと、東雲は一回黙った。
一同僚に不満があるわけではないが、この程度なら少しぐらいは、やさしく口を利くくらいしてもバチは当たるまい。
堀田の方はそれほど酒に酔ったとも見えないが、へたりこんで余所を向いて震えている。
こちらもワケがわからない。問題だ。



