後日、堀田は同僚の東雲(しののめ)晶(あきら)に責められた。 「そういう冷たいことを言う?」 「いや、あそこで叫ぶの止めて欲しくてさ。いくら人気がないからって、ああいうのは少し問題だなって」 「だったらどうして、オレに話を振るんだ」 堀田は長く、ため息をついた。 「毎日なんだよ。オレがどの道を通ったかわからなくなった頃、またあのバアさんに出くわして、彼女は誰かの名を叫ぶんだ」 視線を落としてそういう堀田は憔悴していた。