まだいたのか。 彼女が探しているのは物品ではなく生き物らしいから、実際、犬か猫か、人かもわからない。 取り乱す様子は確かに異様だったけれども、自分がそこへ立って安心させてやれるものならとっくにしてる。 それでも人のよい部分のある堀田は気になって、去り際に声をかけた。 「タケルくん、もう、ここにはいないんじゃないですか」