「ここはもう駄目だ。オレの住むべき場所はもっと他にある。もっと美しい場所があるはずなんだ」
彼は胸をかきむしるように叫ぶと、裸足のまま急に走り出した。
人間の住む場所は汚れている。
人はそれらと共存している。
なぜそれができなくなったかと言えば、自分が薄汚れた老婆の面倒みろなどと、底の浅いことを言ったからだ。
東雲はとうとう男泣きに泣いてしまった。
叫びはまだ耳の奥で鳴ってる。
「こんなところ、人間の住む場所ではない! 選ばれしオレの庭はどこにあるんだ!
このオレの! オレだけの!」
老婆は相変わらずどこかで這いずって、
「カヲル?」
と辺りを見回した。
了



