どうにか殴ってでも正気に返らせてやりたかったが、それも痛々しい。 この友人が壊れてしまう寸前で、自分が居合わせていたのなら、それも可能だっただろう。 しかし、今それができるかというとできない。触れるだけで壊してしまいそうだ。 「よすんだ、馬鹿なことは」 だが彼はかすかな湯気の立つたらいに足を入れ、そのままソファでうっとりとして天井を見つめた。