「自殺……サイ、ト?」
「うん、汚血抜くのに、参考にしたんだ。おもしろいよ。彼らは死にたがってる。けど実際は現実逃避して楽になりたいだけなんだ。たとえば思考力を失って鬱屈してくると、ちょっとカミソリで切って血を流す。無意識にもね。するとスッキリする、というのが多数らしい」
「それって……」
「似てるだろ? オレ独自の健康法はここからきたのさ。つらければ血を抜けばいいってことだね。これは、すごい反響を産む……」
東雲ははっとした。
「おまえ、両足から血が……」
「ああ、ついさっきのだ。汚れた血を洗い流そうと思ってね」
堀田は果物ナイフでなおも傷口をえぐった。
カテーテルを入れて、真紅の血が流れ出す。
東雲は見ていられなかった。



