「まあ、身体のほうは軽いかな。歩いててもなにしても。汚血をとったからね」 東雲は眉をひそめた。 病的に細い線、痩せた頬、紅い唇。 放蕩の跡。筋張った手足。どれもこれも、めちゃくちゃだ。 もはや堀田は自分の知る友人ではないのだ、少し回るようになった頭で彼は思った。 「悪血ってなんだ」 「汚血だよ。身体の中の汚れを大量に含んだ血のことだよ」 「なんの健康法だ」 「んー、なんか中国の漢方みたいな。おかげで調子はいいよ」 青ざめて見えたのはそのせいか、東雲は久々に見た友人の顔を凝視した。