「だめなんだ」 堀田はけだるく言った。 「どこへ行ってもバアさんはついてきて、家の中にさえいれば安楽に、面倒見てくれる。彼女無しじゃ二度と出て行けない……」 思うにタケルというのは一人息子だったんだな。今ではオレがタケルの代わりらしい、と堀田は言った。 「目の錯覚とかじゃあ、なかったんだよ、あれは」 あの毒虫は彼を閉じ込めるためなのか? それとも彼にあだなす者を近づけまいとしてまいたのか?