月光の庭



「なあに、人間、年取るのはすぐだからね」





 話を聞いた会社は最初は、堀田のことをずいぶん熱心なボランティア熱だと考えていたらしい。

 

だが、長期休暇をとるときいて、所在を確かめると、自分の部屋に居るという。





「おい、なに閉じこもってんだ。バアさんも、ここを開けてくれ」





 彼は出てこない、目の前にはにこにこしたバアさんひとり。



 奥で声だけは聞こえる。
 


 彼の玄関の前で携帯電話ごしに話すとは、滑稽きわまりないが、そんなことは言っていられない。



 堀田が妙なのはしばらく前からだ。一体何があったというのか。