月光の庭



「それが……」


 堀田はとぎれとぎれの、記憶の糸をたどるように話そうとした。



「老婆が家まで来るんだよ」



「あのバアさんのことか、で? ストーカーまがいのことでもされたか」



「ストーカーならまだましだったよ」



「順をおって話せ。よくわからん」





 ところが、順をおって、かみ砕かれても、なんのことだかわからない。





「おまえさえよければ良い医者、紹介せんでもない」



「きけ。最初は近くの十字路、オレんちの前。雨がふってるからといって、カーテンを閉めようとしたら、オレんちの庭先で、いや、窓際ではっきり大きな黄色い目でオレを見てたんだ」