月光の庭


 
 ところが、それが悪夢の幕開けになってしまった。



翌週、堀田はひどい顔をして出社してきた。



 目の下に大きな隈を盛大にかってきたのだ。



 先に出社していた東雲は、嫌な予感がして席を立って彼を休憩室へ連れて行った。



 なんの事はない、普段は使われない小会議室のことだ。
  


こん、と缶コーヒーをテーブルにおくと、座るように勧め、自分は高いジッポでマルボロに火をつけた。


堀田が喫煙しないのは知っている。窓を開け放ち、細く煙を吐き出す。



「どうしたっていうんだ? いくらなんでもその顔はないだろう」