Time is gone



 事件から一週間が過ぎようとしている。長い、長い一週間がやっと終わった。マスコミの報道も一時に比べれば落ち着いた。責任を取り自らの首を差し出した数人の重役によって、一つの山を越えたのだ。どいつもこいつも定年間近の老いぼれだ。退職金を上乗せされ、喜んで被害者になったのだろう。ずる賢い奴らだ。
 それでもクレームや誹謗中傷、いたずら電話は絶えず、連日それらの対応に翻弄され続けた。この分では、後一ヶ月は営業どころではない。例え営業に出られるようになったとしても、ほとぼりが冷めるまでは、契約成立は夢物語だ。今まで積み重ねてきた見込客も、みんなパーだ。〇からのスタート、ではない。マイナスからのスタートだ。