「もしもし、しんくん?」
なんだ、雪菜か……。
だが一体、こんな時間に何の用だろうか。時計はすでに、深夜一時を指していた。
「出るの速かったけど、誰かから、電話待ってた?」
「いや、そう言うわけじゃないけど……。それよりも、お前こそこんな時間にどうした」
少しの沈黙が流れた。
「……しんくんが、いなくなっちゃう夢を見て」
女の感。その名刀のような鋭さに舌を巻いた。
「そんなわけないだろ。遅いし、早く寝ろよ」
自分でも棒読みだと分かるほどに、そこには一切の感情もこもっていなかった。
「……そう、だよね。ごめんね、こんな遅くに。おやすみ、なさい」
梨花からの電話を待つことは、浮気だろうか。いや、違う。これくらいのことが浮気になるはずがない。
それでも俺の心には、一抹の罪悪感が芽生えていた。それは、これから雪菜を裏切るような事態が起こることを、望んでいたからだ。
なんだ、雪菜か……。
だが一体、こんな時間に何の用だろうか。時計はすでに、深夜一時を指していた。
「出るの速かったけど、誰かから、電話待ってた?」
「いや、そう言うわけじゃないけど……。それよりも、お前こそこんな時間にどうした」
少しの沈黙が流れた。
「……しんくんが、いなくなっちゃう夢を見て」
女の感。その名刀のような鋭さに舌を巻いた。
「そんなわけないだろ。遅いし、早く寝ろよ」
自分でも棒読みだと分かるほどに、そこには一切の感情もこもっていなかった。
「……そう、だよね。ごめんね、こんな遅くに。おやすみ、なさい」
梨花からの電話を待つことは、浮気だろうか。いや、違う。これくらいのことが浮気になるはずがない。
それでも俺の心には、一抹の罪悪感が芽生えていた。それは、これから雪菜を裏切るような事態が起こることを、望んでいたからだ。



