「しんくん? 今日も帰り、遅かったんだね」 電話口の雪菜の声は、寝起きのそれだった。 「寝ていたか? ごめんな、邪魔して。今日も部長に誘われてさ」 「そっか……。最近、多いね?」 「そりゃそうだよ。何てったって、期待の星だからな」 寝起きのためか、雪菜のテンションは低めだった。 「それよりもさ、もうすぐ夏のボーナスだろ? 期待してくれってさ。こりゃ百万は固いな。何か欲しい物はあるか?」 そのリストを物色しているのだろう、中々返事は返って来なかった。