「どうだね、今晩食事でも」 声を掛けて来たのは、営業部長の佐伯だった。 「ぜひ、お供させていただきます」 迷いなく答えた俺に対し、鋭い視線を送る人物がいた。同僚の友雄だ。最近、彼とは疎遠になり始めていた。その理由の一つが、部長からのお誘いだ。 今や社を代表する営業マンへと成長しつつある俺が、上司から目を付けられることは極自然な流れだ。ただし、よく思う者がいれば、必ずその逆も存在する。ほんの数ヶ月前までは、共に鳴かず飛ばずであった同僚が、急に大空を飛び回り始めては、面白いはずがない。