Time is gone

「えっ? ええええええっ?」
 と……け……い。
 俺は力を振り絞り、アスファルトの上、車のヘッドライトに照らされ、一等星のように輝く時計を指した。
「とととととけけけ、いいいい、です、ね」
 男は四つん這いのまま時計の元までハイハイし、その姿のまま戻ってきた。そして俺の左掌の上に乗せた。
 こいつは……俺に処分されると、悟り、逆に、俺を処分、しようと、した。こんな、もの……。
 最後の力を振り絞り、左手を高く振り上げ、時計をアスファルトに打ちつけようとした。だがすでに、体は言うことを利かなかった。
 俺の掌から転げ落ちた時計は、アスファルトの上をコロコロと転がり始めた。新たな主人、新たな悲劇を求めるように、深夜の歌舞伎町を、コロコロと。