Time is gone

「それが無理だから渡せと言っているんだ! これ以上その時計と関わっていれば、最悪の……」
 大股に一歩足を踏み出そうとした真哉は、その足を引っ込めた。
「何の、真似だ」
 真哉の声は怯んだ。
「時計は諦めろ。そして二度と俺に近付くな」
 俺の右手からは、鋭利な光が放たれていた。
「浮浪者でも殺せば、殺人だぞ」
「そんなことは言われなくとも分かっている。俺だってお前の仲間入りする気はない。だから、去れ」
 俺の忠告を無視し、真哉は足を踏み出した。そこにはすでに、躊躇いはなかった。
「俺は本気だぞ! 去れ!」
 俺は後ずさった。真哉は足を踏み出す。
「刺すなら刺せ! 俺は死なん! その時計を葬り去るまでは死なん! 誓ったんだ、天国で眠る雪菜に、そう誓ったんだ!」
 真哉の左手が俺の右手を掴んだ。俺は、ヒッ、と情けない声を上げ、その手を振り払おうと必死にもがいた。