古い知人であることを告げ、斎藤真哉を伴い店を出た。正気を失った人間は何をしでかすか分からない。店で正体をばらされては堪ったものではない。俺はそうするしかなかった。
二人は共に口を開くことなく、どちらからともなく、新宿御苑方面に向かい歩き出した。
「なぜ、居場所が分かった?」
場所を新宿御苑に移すなり、俺は口を開いた。それに対し真哉は、愚問だと言わんばかりに首を左右に振った。
「言っただろ、お前らの考えそうなことは分かる。その中の一つがヒットしただけだ。……そして時計、まだ持っているだろ? そいつは必ずこの街に戻って来る、俺にはその確信があった。ドラマの始まりがこの街なら、幕を引くのもこの街だ」
真哉は表情のない顔をしていた。垢が固まり、表情すら変えられないのかもしれない。
「いい読みだ。感服するよ。警察なんかよりもよっぽど優秀だ。だが勘違いするな、時計は俺のものだ」
俺はそう言ってカツラを外した。こんなもの、この男の前では何の意味も持たない。



