Time is gone

 死刑囚は、毎日こんな日々を過ごしているのだろうか。
 俺は不意に、そんなことを考えていた。
 きっとこんなふうに、その日を恐れているのだ。その日は、死を意味する……。一時も気が休まることはないだろう。発狂したとしても、おかしくない。同情するわけではない。それだけのことをしたのだから。
 斎藤真哉、お前は逃亡中、そんな恐怖と闘っていたのか。人を一人殺したのだ、捕まれば自分が法に殺されるかもしれない、という恐怖と……。
 一度はその恐怖から逃れたものの、再びその矢面に立とうと言うのか。そこまでして時計を奪い返そうと言うのか。一度出所し、再び殺人を犯せば、二度とシャバには出られない。死刑の可能性もグンと高くなる。それを覚悟の上で、俺を殺してでも時計を奪おうとしている……。
「この時計はそれほどまでに、危険なのか?」
 ……そうなのかもしれない。
 弱気な思考回路を払拭するように、俺は首を激しく左右に振った。