逃亡生活も一週間が過ぎた。その間、二つのことに専念した。一つは囮となる浮浪者探し、二つ目は公開捜査が始まってからの逃亡準備だ。
標的となる浮浪者はすぐに見つかった。いかにも金と食に困った様子で、コンビニの廃棄と煙草の吸殻を見つけては、我が子を毛布でくるむように、一つ一つボロ切れに包んでいく男。少しくらいリスクを犯してでも、十五万という大金に飛び付いて来るはずだ。正気と狂気をギリギリの一線で保っている男、理想的な標的だ。
逃亡の準備にも抜かりはなかった。滞在中のホテルに設置されたパソコンを使い、ネットで様々なものを購入した。化粧品や胸パッド、レースの下着に花柄のワンピース、脱毛剤……などなどだ。決して正気を失ったわけではない。
そして連日、時間さえあればニュースをチェックした。それは蛇の生殺しだった。朝のニュースを見ては、まだ自分の顔写真が報道されていないことに安堵し、昼のニュースを見て溜息を洩らし、夜のニュースを見て、今日も一日生き長らえたことに感謝する。



