大阪行きのチケットを握り、新幹線のシートにもたれていた。大阪を逃亡先に選んだわけではない。当分は人気の多い場所は避けなければならない。静岡の三島で降り、沼津辺りに身を隠すつもりでいた。あえて大阪まで買ったのは、どこでも降りられることと、捜査の目を誤魔化すためだ。そして公開捜査に踏み出す頃あいを見て、徐々に東京方面へ向かうつもりでいた。
警察は、俺が警察に狙われていることを知っているとは、夢にも思わないはずだ。ゆえに、捜査令状を裁判所から取り、それを持って自宅に押し寄せ、すぐに逮捕できると思っている。だからこそ、今は東京から離れなければならない。
意気揚々と家宅捜査に踏み込んだ警察は、もぬけの殻となった部屋を見て慌てる。すぐに公開捜査へと踏み切るだろう。そうなれば、人気の少ない田舎では目立つ。人口の集中するコンクリートジャングルの方が、身を隠しやすくなる。
東京に戻る前に浮浪者でも捕まえ、カードを渡し暗証番号を教える。そして少しずつ金を下ろさせる。優秀な彼らは、すぐに駆けつけてくれるはずだ。そのためにわざと、口座に金を残しておいたのだ。ただでくれてやるのはもったいないが、身を守るためである。出し惜しみしている場合ではない。



