翌朝早朝、東京行きの新幹線に飛び乗った。昨夜は結局、一睡もできなかった。これからどうすればいいか、どうなるかを考えていた。そして警察に追いかけられる自らの姿が、ヤンに殺される自らの姿が、壊れたブルーレイデッキのように永遠とリピートされ、眠るどころではなかった。無音で目的地を目指す新幹線のシートにもたれていても、眠気は一向に訪れる気配はなかった。
ボロアパートに辿り着いた俺は、慎重にその扉を開き、素早く身を滑り込ませた。ここが突き止められるのも、時間の問題だ。
ありったけの現金を掻き集め、必要最低限の衣服を詰め、そそくさと飛び出した。
この部屋に戻ることは、二度とない。
そう思っても、何の感傷も湧かなかった。このような事態を想定し、いつでも逃げられるよう、あえてボロアパートで暮らしていたのだ。そんなものが湧くはずもなかった。そしてそんな感傷に浸っていられる状況でもない。一秒でも早く、東京から離れる必要があった。



