Time is gone


 
 軽井沢での生活四日目。俺はホテルの自室から、満点の星空を見上げていた。その圧倒的な星々の数は、もはやどれが夏の大三角形なのかも分からなくさせるほどだった。
「今日でこの星空も見納めか……。やっぱり、後何泊かするか」
 物思いにふけながら、高原ビールを喉に流し込んだ。その独特のフレーバーに、当初はアサヒのスーパードライが恋しくもなったが、四日間も飲み続けていく内に、癖になり始めていた。
 遠くで鈴虫の鳴き声が聞こえる。それに合わせるように星が瞬く。八月も後半、高原は一足早く秋を迎えようとしていた。
 二本目の缶を握り潰し、三本目のそれを取りに立ち上がったとき、初秋の穏やかな夜は突如として崩壊した。
「ここはジャングルじゃねぇっ、高原だ! それに一ヶ月は仕事できないと、あれほど言っただろうが!」
 俺は携帯を取り上げながら、一人愚痴った。