Time is gone

 警戒心を失った扉は、ギーッと言う音をたてて開いた。その途端、熱気が俺を襲った。日中、扉という扉を閉め切られていた家は、その中にたっぷりの熱を溜め込んでいたのだ。だが、暑いからと言って引き返すわけにもいかない。服を着たままサウナへと足を踏み入れた。
 アッと言う間に全身は汗でビッショリになった。額の汗を拭いながらも、俺は現金三十数万円、アクセサリーやブランド品数点を見つけ出した。その間僅か十分足らず。正にプロの仕事だ。
 これだけあれば、ヤンも満足するはずだ。それにしても、暑い……。
 さっさと家を後にしようと出口に向かった足が、止まった。台所に差し掛かったときだ。中からは、ウーッという獣のような唸りが聞こえて来た。俺は再び垂れてきた額の汗を拭い、生唾を飲み込んだ。喉はカラカラだ。